トップ > 最新情報 > 第44回生体医歯工学公開セミナー(2026年11月10日)
最新情報
| 日時 | 2026年11月10日(火)14:00~15:30 |
| 会場 | 東京科学大学横浜キャンパス 大学会館2階 集会室1 |
| 講師 | Dr. Deepak Venkateshvaran(Cavendish Laboratory, University of Cambridge, U.K.) |
| 講演題目 | 有機半導体における分子の力学的特性と電荷輸送の関連性の解明 |
| 講演概要 | 何十年もの間、有機半導体はその機械的柔軟性から高く評価されてきました。しかし、ここで根幹的な疑問が生じます。柔軟性(柔らかさ)は電荷輸送の性能を制限してしまうのでしょうか? 本講演では、力学的特性を電荷輸送とは別の性質として扱うのではなく、一体のものとして取り扱います。結局のところ、巨視的な剛性とは、音響フォノン応答の長波長かつ周波数ゼロにおける極限であり、それが反映する低エネルギーフォノンこそが電荷輸送に関与しているものに他ならないからです。この関連性を解明するため、本講演では、X線散乱による逆格子空間の観測を補完するものとして、原子間力顕微鏡が分子秩序およびナノメカニクスの実空間プローブとしてどのように機能するかを示します。高次モード撮影により、大気下において1ナノメートル未満の高分子のパッキングを観察でき、一方でフォースカーブ測定によって同一表面上の局所的な剛性をマッピングします[1]。半結晶性ポリマーにおいては、ナノスケールの剛性が構造秩序と連動しますが[2]、電荷輸送方向に沿った硬い領域同士の「相互接続性」こそがキャリア移動度と連動していることが判明しました。また、アルキル化DNTTをベースとする分子半導体では、側鎖が単位格子を拡張することで結晶の面外方向を柔軟にする一方で、面内方向を剛化させ、これが移動度の向上と一致します[3]。これらの結果より、分子性材料における力学特性と電荷輸送には共通の構造的起源があることが示唆されます。本研究は、ナノ力学計測を散乱手法に対する「触覚的な補完技術」として位置付け、電荷輸送において最も重要な実空間で構造を読み解くアプローチを確立するとともに、現在の材料を上回るさらなる高移動度を備えた分子半導体のための新たな設計指針を与えています。 |
飯野裕明研究室(センサ・プロセッシング研究コア・准教授)
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20261110